なお

なお
I
なお【猶・尚】
※一※ (副)
(1)以前の状態が引き続いているさまを表す。 (ア)相変わらず。 いぜんとして。

「今も~美しい」「今~語り継がれている」(イ)引き続いて。 もとのとおり。 「~いっそうのお引き立てを」「~しばし試みよ/源氏(桐壺)」

(2)以前の状態や他の同類のものと比べて程度が進んでいるさまを表す。 (ア)ますます。 よりいっそう。

「手術して~悪くなった」「そのほうが~都合がいい」(イ)(好ましくないと思う気持ちを強調して)さらに。 もっと。 「うそをつくほうが~悪い」「げに畜類にも~おとれり/沙石(八・古活字本)」

(3)それにさらに付け加える余地があるさまを表す。 まだ。

「試験まで~一〇日ある」「憎んでも~余りある」

(4)前の語を受けて強調する意を表す。 …でさえも。 でも。

「昼~暗い杉並木」

(5)(漢文訓読に由来する語法で, 下に, 「如し」を伴う)あたかも。 ちょうど。

「過ぎたるは~及ばざるが如し」「上古~かくのごとし, 況や末代においてをや/平家 10」

(6)(当然のこととして)なんといっても。 やはり。 たしかに。

「世の中に~いと心憂きものは人ににくまれんとこそあるべけれ/枕草子267」

※二※ (接続)
ある事柄を述べたあとにほかのことを言い添えるときに用いる語。 さらに申しますと。 付け加えていれば。 《尚》「取りあえず御報告まで。 ~詳細は追ってお知らせします」
~あらじ
このままで済ますわけにいかない。 ただでは済まされない。

「~じごとと見るにつけても怨めしさまさり給ふ/源氏(総角)」

~しも
「なお(猶)」を強めていう語。 副詞的に用いられる。 なおさらに。 いっそう。

「~, 虎(=虎御前)はうちふして, 消え入るやうに見えしかば/曾我 6」

~のこと
なおさら。 いっそう。 ますます。

「それなら~君が行くべきだ」

II
なお【直】
※一※ (形動ナリ)
まっすぐなさま。 「なおなお」「まなお」の形で見られる。
※二※ (副)
(1)取り立てて言うべきほどでないさま。 普通。 平凡。

「~もあらぬことありて, 春夏なやみくらして/蜻蛉(上)」

(2)これといった行動・工夫をしないさま。 空しく過ごすさま。

「宮仕への初めに, ただ~やはあるべき/伊勢 78」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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